「事業計画書」が歯科開業・資金融資の成否を握る
見通しが甘い歯科開業計画には、金融機関は融資をしぶる
開業を決めたら、まずは場所、施設の確保、スタッフの採用にはどのくらいの費用がかかるか、あるいは、将来、いつ、どれぐらいの費用が必用になるのかなど、綿密に計画をたてることが大切です。融資を受ける際にも、事業の見通しが甘ければ金融機関からの融資は受けられません。金融機関が判断の材料にするのが「事業計画書」です。
多くの歯科医師が利用する政府系金融機関でも融資に成功するのは2割ほどと言われます。融資を無事に受けるためにも、ポイントを抑えた事業計画書を作成したいものです。また、成功ストーリーのシナリオを描いてイメージを具体化することで、失敗を回避させることもできます。事業計画はおおむね、以下の流れで進めます。
【経営方針、医院コンセプトの決定】
「地域に密着した歯科医院にしたい」など、どんな医院にしていきたいのか、方向性を決めます。「患者様とのコミュニケーションを密にしていきたい」というのであれば、カウンセリングルームを設ける必要があるかもしれません。方向性が決まっていれば、後に内装や設備を決める際にも役立ちます。
【設備投資の決定】
開業にあたり必用になるのは、不動産取得にかかわる手数料をはじめ、内装工事費、医療設備、材料、什器備品、収納設備などです。これらは必ずしも、すべて開業時に揃っている必用はありません。開業後、徐々に買い揃えたり、リースを利用しても構いません。また、看板・電柱看板設備、広告宣伝費のほか、名刺、診察券、問診票、封筒、あいさつ状などの印刷物類、内覧会などのイベント費、ホームページの作成・運営費用も必要です。
【資金の確認・検討】
テナントを借り、チェアユニット3台の歯科医院を開業した場合、立地条件にもよりますが3000万~5000万円というのがひとつの目安になるでしょう。おしゃれな内観にしたい、グレードの高い医療機器を入れたいなど、要望次第で費用は高くなることもあります。そして、開業後、経営が軌道に乗るまでの準備として、4カ月から6カ月(600万~800万円)ほどの運転資金に加え、歯科医師会の入会費も準備する必要があります。
自己資金はいくら用意できるのか、金融機関の融資はいくら必用になるのか、把握することが大切です。自己資金の額に応じて、金融機関から担保や保証人を求められることもあります。
【決定】
いくつかのシミュレーションをつくり、その中から自らに合ったプランを選択、決定します。